組織づくりのOS 「やめる」ことから ③「ない」の口癖

経営・組織づくり


良い組織をつくろうと思ったら、「まずやめた方がいいこと」、
その三つ目は「“ない”の口癖」です。

皆さんの周りで、何かを変えようとしたり、
新しいことを始めようと提案したりする時、こういうことをすぐ言う人はいませんか?

「時間がない」
「お金がない」
「人がいない」

私はこれを「組織の三大“ない”」と呼んでいます(笑)。

ファシリテーションの研修の場で、問題解決の議論をしてもらう時に
「問題の原因」としてこれらの「三大“ない”」が挙げられることが時々あります。

これらが出てくると…受講者は「思考停止」になります。
「う〜ん」と唸って、それ以上議論が進みません。

(ですので、「できることは何でしょうか?」との質問で視点を変えたりします)

「○○がない」と言われると、それ以上どうしようもない、
できることはないと思ってしまいますよね。

人の思考・行動を止めてしまう「黒魔術の呪文」のようなものだと思います。

では、「ない」の呪文が出てきたら、どうしたらいいのでしょうか?

私でしたら、こう問い返します。

「本当に全くない?」

「本当に全く時間がない?」
「本当に全くお金がない?」
「本当に全く人がいない?」

そんなはずはないのです。

時間は、1日の労働時間で言えば7〜8時間ありますね。
お金も、無尽蔵にはなくてもいくらかの予算はありますね。
人も、大勢ではなくても、とびきり優秀な人ばかりでなくても、いますよね。

リソースは、限られてはいても、常に「ある」のです。
ただ、「使い方」に問題があるだけなのです。

無理してあまりに多くのことをしようとしていたり、
振り分け方のバランスが悪かったり、
優先順位をきちんとつけていないか間違っているだけではないでしょうか。

ですので、リソースが「あるかない」ではなく、
「使い方」を見直す考え方をしないといけません。

つまり、「あるものをどう生かすか?」という視点です。

この視点に立った時、初めて力が生まれ、解決策を考えることができます。

いささか哲学めきますが、この世界に本当は「無」はありません。
それは、人間の思考がつくった概念でしかありません。

実際には「有」しかありません。
自然がそうであるように、「あるもの」しかないのです。

この「ある」の意識がなぜ大事かと言うと、「無力感」に陥らないためです。
状況を肯定的に見て、できる手を打っていくためです。

必ずできることは「ある」と、常に「有力感」を持って動いていくためです。

まず自分自身が「ない」という言う言葉に気をつけ、
人が「○○がない」と言っていたら、
「本当かな?あるでしょ」と疑ってみて(笑)、
「あるものをどう生かしたらいいでしょうか?」と一緒に考えてみましょう。

あるものしか、ありません。

そして、あなたの中に、みんなの中に、
本当は、思いも力も知恵も「ある」のです。

「ない」という誤解に陥らず、
「ある」ものをしっかりと生かしていきましょう。