ファシリテーションで大切なこと

ブログ

会議やワークショップ等、話し合いの場を進行するファシリテーションにおいて
大切なことは何でしょう?


と言うと、もちろん、いろんなことがあります。
話しやすいようにアイスブレイクをしたり、
考えやすい「問い」を立てたり、
付箋や板書で可視化する、等々。


ファシリテーションは、言わば、そうした様々な配慮と働きかけの「総合技術」と言えます。
が、その中でも、私が、最近特に、一番大事ではないかなと思っていることがあります。


それは、ファシリテーターが、「問題解決のプロセス」をよく理解していて、
それを状況に応じて使い分けられること
、です。


「問題解決のプロセス」というのは、一般には「原因分析」のアプローチとして知られています。
【現状認識】→【問題の定義】→【原因の特定】→【対策の立案】 


表現の仕方やステップの数等は様々ありますが、概ねこういう流れで、
特に「原因」を掘り下げて考えることが大事だと説明されます。
(実は、「問題の定義」こそが最重要なのですが、その話はここでは脇に置きます)


一方、問題解決には、もう一つのアプローチがあります。
こちらは、「目的実現」とでも言えばいいでしょうか(私の造語です)、
所謂「目的論」のアプローチです。


「なぜこうなのか?」ではなく、「どうなるといいのか?」から考える流れです。
「バックキャスティング」とも呼ばれています。
【現状認識】→【理想の描出】→【目標の設定】→【実現手段の選定】


※「問題解決」は、狭い意味では前者の原因分析アプローチだけを言いますが、
「望む結果を得る」という意味で、ここでは後者の目的実現も含めています。


さて、どちらがいいのでしょうか?


ある人は「原因分析こそ、問題解決の王道」と言います。
ある人は「原因分析はもう古い」「目的論アプローチの方が有効だ」と言います。


私の意見は、「それは場合と状況による」です。
それぞれに向き・不向き、メリット・デメリットがあります。


簡単に言えば、前者が向くのは「対象の範囲が限定され、因果関係が特定しやすいテーマ」。
典型的なのは、工場の生産ラインでの不具合等です。
問題が起きた場所や期間が限定されます。


後者が向くのは「対象の範囲が広く、対策がオープンエンドなテーマ」。
例えば、「従業員満足度の向上策」等です。


また、それぞれにメリット、デメリットがあります。


原因分析アプローチは、「状況の詳細な把握」ができるというメリットがあります。
特に、物や機械にはやりやすいです。
ですが、こと「人間の行動」が絡むと難しくなります。


人は、一般に、問題点を指摘されたりするのが嫌なので、
分析が甘くなったりしますし、そもそも原因を客観的に見ることが困難です。


ですので、人間の行動が関係する場合、「原因分析」アプローチでは、
「意識が低い」等の精神論的解釈や、「人が足りない」「時間がない」等、
「自分のせいではない」という外部要因の指摘に流れてしまうことがよくあります。


「原因論」で行くなら、そこをしっかり向き合えるように、
安全な場をつくりつつ、「事実」を直視するよう働きかける必要があります。


他方、「目的論」アプローチは、理想や目標を描くことから実現手段を考えるので、
「前向き」で話しやすく、自由に発想を広げられるというメリットがあります。


しかし、デメリットもあると私は思っています。
それは、「話がフワフワしやすい」ということです。


「理想像」がとても漠然としていて、誰も反対しない代わりに心に響かないものにとどまったり、
実現手段も非現実的なアイディアばかりになったり、
結局具体的な行動レベルまで策を落とし込めないという危険が伴います。
(地域・市民系のワークショップではよく見る光景です)


「目的論」で行くなら、理想や目標の肉付けのある「言語化」と、
行動の「具体化」が必須だと思います(もちろん、ワクワク感も大事にしつつ)。


問題解決は、概ね、どちらかのプロセスを辿ることになりますが、
両アプローチともに、向き・不向き、メリット・デメリットがあります。


ただ話してもらうだけの場ならいいのですが、
何らかの具体的な対策・行動を決める必要がある場合、
ファシリテーターは、そうしたことをよく理解した上で「流れをつくる」必要があります。


ファシリテーションと言うと、日本では、「話しやすい雰囲気をつくる」とか、
「しっかり傾聴する」とか、「心理的安全性を高める」ことが強調されがちですが(私も言いますけど💦)、本当は、「思考をどう誘うか」が、少なくとも意思決定の場では本質的に重要なことではないかと、現場を支援していて私は思います。



コメント